2013年8月27日

顔のある樹



タッチドローイングリトリートの4日目に、森に入った。そこは、昨年のリトリートでも来た魔法のような空気に満ちた森である。



まずは、ドローイングをする場所を探す。今回は昨年とは違う場所を求め、体全体を触覚のようにしてトレイルを一人歩いた。古い大木がそびえ立つ場所にたどり着いたとき、ここだと思った。そこからふと顔を上げると、前方の少し離れた所にある樹に目が釘付けになった。



「樹に顔がある!」

稲妻が身体を通り抜けたような衝撃が走った。



その瞬間、意識がその樹の中に吸い込まれていき、不思議な空間に滑り込んだ。

それは樹なのか人間なのか?



境界線を越えると、区別することのできない世界が開けてくる。

樹と人間がひとつに溶け合う世界。



紙に向うと自然に指が動き始め、そこに現われたのは酋長であった。



彼は私が来ることを知っていたのか。

私が彼に気付くまで、そこでずっと待ってくれていたのか。



そもそも彼は誰なのか?・・・それは私なのか?



静かに目を閉じると、酋長と樹と私がひとつになる。懐かしい感覚が波のように押し寄せ、私を洗い流した。





静寂の中で、私に語りかける声が聴こえる。

「ここはあなたの内なる森」


Standing People(樹の存在のこと)に捧ぐ



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