2013年11月5日

語りかける「しこり」

私の左の胸には線維腺腫といわれる良性の腫瘍が随分前からあったが、先日日本で初めて受けたマンモグラフィーにしこりが写ったため触診を受け、その後、市が定めた検査の流れに従ってさらに検査を受ける必要があると言われた。

以前にも同じ手順を踏み、結果的には良性だったため特に心配はしていなかったが、「今回は線維腺腫にしてはちょっと大きいかな?」と医師に言われたため、不安がよぎった。強い触診が原因だったのか、それ以来、急にピキピキする痛みが現われ違和感も続いている。

それまで違和感が全くなかったからこそ、この急な痛みはまるでしこりが突然声を上げ、その存在を私に気づかせようとしているように感じられた。実際、感覚があるから嫌でも意識はそこにいく。ちょうど、触診が終わった直後に私は友人とタッチドローイングをすることになっており、このタイミングは偶然だとは思えなかった。

私は自分が行うワークショップでいつも、参加者に身体感覚を指で表現することから始めることを勧めている。体には叡智があり、多くの場合、身体感覚は深いレベルに至る入り口になるからだ。私にとって、このしこりは、タッチドローイングという方法で実際に自分がやってみる絶好のチャンスを与えてくれている。

映像に写ったしこりは、ふたつの丸いものがくっついた形をしていた。7年前の組織検査のときに見たものとほぼ同じ形であり、その検査のときになぜかそれを愛らしいと思ったことを記憶している。

目を閉じて、しこりの輪郭を指で描くと雪だるまのような形になり、それを何度も指で辿っていると、自然に顔が浮かび上がってきた。目と鼻と口を描くと、それは少女の顔になった。微笑んでいるように見える。

不思議なことだが、描くときには指自体がハートと連動する意志をもっているかのように動くため、表情を自分の頭でコントロールして描くことは難しい。絵を描くというよりも、イメージが自然に立ち上がるという感じである。







描いた後しばらく時間を置き、色付けをしてみた。色付けをする過程で、絵を通した魂とのやりとりが始まる。これは、描いたときとは異なるレベルの自分との対話。

直感で色を選んで塗っている間にも、さらにイメージが立ち上がる。下のしこりには手が出現し、胸の辺りを赤く塗っているうちに、赤いものを抱えている姿へと変容した。この赤いものは何だろう?そんなことを考えながら、感覚に従ってさらに違う色を加えていくと、次第に詳細が現われてくる。

この絵は、もはやしこりという「もの」ではなかった。意志を持ったひとつの「いのち」を表していた。




少女は私に微笑みかけていた。その表情を眺めていると、突然、こんな言葉が頭の中に浮かんだ。

“Listen to this gifted child, the child in you. She is holding the sacred fire, the Eternal Flame of Love to deliver to you. She is smiling at you, for she knows all the secrets and wonders of life. She knows the way to get there.”

浮かんだ言葉は英語であったが、日本語にするとどうだろうと思ったら、今度は日本語で言葉が流れてきた。

「大丈夫、何も心配することはない。私をごらん、私は神の子。
この聖なる炎をあなたに手渡すために、私はここに現れた。
あなたにそれを知らせるために、このタイミングで現れた。ぴったりのタイミングで。

ここにはたくさんの喜びと無邪気さと魔法のような力があり、私はこれをずっと大切に守ってきた。時が来るのを待ちながら、この温かく心地よい場所(あなたの胸)で守られながら。

私はあなた。
あなたは私。

さあ、これからこの聖なる愛の炎を掲げて一緒に歩いていきましょう。

愛の炎は創造の力。中心で燃えるこの赤は命の躍動、心臓の赤、血潮の赤、情熱の赤。病弱だったあなたが子供のときに嫌いだった色の赤。

本当は大好きだった赤。どんなに気づかないふりをしていても、消すことはできない。ずっとあなたの中で種火のように燃え続けてきた火。今、その炎をあなたに手渡すときがきた。

いのちの流れを止めることはできない。もう抑えることはできない。

何のために生きているのか。答えはシンプル。あなたの魂が願ってきたこと、本当に心の底からやりたいことがあるからこそ、恐怖におののきながらも生まれてきた。

人生には魔法がいっぱい。創造は魔法の杖。その魔法の杖を使って、いくつもの新しい世界へと扉を開いてゆく。

私はあなた。
あなたは私。」


7年前にしこりの映像を見たときに、それを忌み嫌ったり、怖れたり、無くなってほしいと、これっぽっちも思わなかった。むしろ、愛らしく思った。きっと、私は深い部分で既に知っていたのだろう。

炎の中心はハートの形のようでもあり、それ自体が2つのくっついたしこりの形のようでもある。

このタイミングで現われた愛らしい少女。

あなたの存在に気づかせてくれてありがとう。私に語りかけてくれてありがとう。

私はこの少女に歌を捧げた。
心を込めて。

理由があって、今ここに生きている私。
何度でも新しくなっていく私。

言葉にはできない深い癒しと安らぎの中で、静かに涙した。


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