2015年5月25日

タッチドローイング ー 水とこころのものがたり

爽やかな風が吹き抜ける5月。最近、無性に自然の中でドローイングがしたいと思うようになっていたところ、朝起きると、水に呼ばれているかのような感覚があった。そこで、私は画材を持って、宮城と山形の県境近くにある大滝を訪れた。

広瀬川の分水嶺を超えて水の流れが逆になると、間もなくこの滝が現れる。急な坂道を降りて橋の中央に立ち、この風景を捉えた。

滝、急流、渦まいているところ、穏やかなところなど、水はさまざまな表情を見せていた。




私は川岸に腰掛け、緩やかな水を眺めながら、ここでドローイングをすることにした。






これは、指で描く水とこころのものがたり








流れる水の中に
広がる不動の世界

この川のはじまりから
ずっと護り続けてきたのだろうか

沈黙の中で
力の繊細なバランスを保つ

ヒスイ色の水の守り神


Two Deities








二神の間の門をくぐり
中へと潜っていくと

川底から押し上げ
今、生まれようとしている命がひとつ

Birth






緩やかに渦巻く水に
映し出された
いのちがめぐりめぐる

深緑の渦の中に
宇宙の法則を司る
水の母を観る


Emerging







うねりとともに
浮かび上がる
水の精

しなやかに
たおやかに
そこに在る

それは流れ
そのもの


Water Goddess






流れゆく水は
 どこからやってくるのだろう

源にさかのぼると
わかるだろう
はじまりの魔法のような力を


Water Source






流れの中で
穏やかに揺らめく光

それは左右に揺れながら
沈黙の中で
開花していった


Water Spirit






水と水がぶつかるところ
そこに生まれたいくつもの泡

やがて水のゆりかごに乗って
与えられた場所へと
運ばれてゆく 
いのちたち


Bubbles






細い糸の束となって
滝の岩肌をつたい流れる
水のカーテン

その優しさに映るのは
懐かしい眼差し


Waterfall





水の世界から
突然現れた羽のひと
異次元へと私を導く案内人

呼吸を整え
風に乗って
私も飛んだ


Dragonfly - Messenger






異次元への入口は
炸裂する世界

そこを抜けると
宇宙が広がっていた


Burst





私を待っていたかのように
現れた銀河の渦

懐かしい感覚とともに
そこに戻ると

私は渦と一体になり
回転しはじめた


Pinwheel Galaxy






まわり まわり
漆黒の中心へと向かってゆく

私がそれになった瞬間
今度は私が広がりはじめる

大いなる存在との
共同創造のプロセス
漆黒の空間から
光が出づる

光とともに現れたのは
約束の炎を掲げた
私であった

約束の炎は
この世に生きる
私の願いと愛と情熱の炎


Holding a Flame






滝を支えている岩が
沈黙の中で語りかけてきた

ずっと見守って来たのだと
地球の歴史が刻まれているのだと

そして
私の中にも
地球の記憶が息づいているのだと


Rock Spirit






 指で描いた水とこころのものがたり

静かに閉じると
聞こえてくる

わたしという
いのちの流れ









グレートミステリー、偉大なる自然に感謝を捧げます。

2015年5月20日 山形県東根市関山大滝にて







2015年3月26日

空間と天秤感覚


一昨日アメリカでの三週間の滞在を終えて帰ってきたが、今回の滞在は特別なものとなった。

何もかもが今までとは違っていた。これを新しい体験というのか、以前の私とは違うというのか、今までとは違う次元にいるというのか、そこに押し出されたとでもいうのか、とにかく驚くことばかりであった。

まずは、夫の家族を訪ねてロサンゼルス、フロリダ、コロラドに滞在し、最後にシアトルという強行なスケジュール。それぞれの場所で時間帯と気候が違うため、時計を戻したり、早めたり、また戻したり、服装も春、夏、冬の3シーズンと忙しい(苦笑)。

時差と気候がここまでぐちゃぐちゃになると、当然体はものすごいストレスを受けて不調になると思うのだが、意外なことに一貫して元気なのであった(驚)。

時差に関係なく夜は床に就くとすぐに眠れる、朝頭痛もなく決まった時間に起きられる、何時であっても胃がもたれることなく食べられる、コンタクト装着も問題なし、日中快活に動ける。

これは今までの私とは真逆の状態だ。環境の変化があまりにも激しいため、激しさゆえにスポ〜ンと枠を抜け出てしまったのだろうか。







日常の私の体はこんな風なのだが、それと平行して、その背後にある大河のような流れからも絶えず象徴としてメッセージが来ていた。

フロリダで見たでっかい空、大西洋の大海原。






それに続き、コロラドの義姉はまるで「大草原の小さな家」のような環境に住んでおり、ここでは地平線が待っていた。




空間、空間、空間。

私にとって、今回の滞在のテーマはこれなのか!


歩いている自分の姿勢と歩調が違うことに気づいた。無意識に、姿勢がよくなり、ゆったりと歩いているのである。環境というのは面白いものである。今回、こっちの方が自分らしいと再確認できた。

目の前に広がる大平原とそこに吹き渡る風。

これが今の私の立ち位置。それを感覚として味わう。







すると、大自然を通してやってきた象徴が具現化するかのように、シアトルでは大規模な「手放し」作業がやってきた。

夫と私は2012年に日本に移る前に家財を大処分したが、再びアメリカに戻ってきたときのためにと、お気に入りのダイニングテーブルとイス、その他捨てられないものをレンタル倉庫に入れてあった。

が、今回それを一掃することに決めた。夫曰く「感情的な執着」のために保管料を月々1万円払い続けるのはバカらしいし、使わないままで置いておくよりも、今必要な人に使ってもらう方がテーブルも本来の役割を果たせてハッピーだろう、と。

ごもっともである。

幸い、アメリカは寄付・リサイクルのシステムが充実しており、大抵どんなものでも即受け取ってくれる。過去の思い出でぎっしり詰まった倉庫と寄付の施設の間を何往復もする。荷物を下ろして引き渡すたびに、何故か安堵する。

最後に残ったものは、何箱もの書類と写真アルバム。結婚するときに日本から持ってきた大学時代以降のアルバムとアメリカ居住20年分の何百枚もの写真のうち、今回持って帰れるものだけに減らす必要があった。

猛スピードで写真一枚一枚に目を通し、瞬間的に判断して捨てるかキープするかを選択する。このとき、これまでの自分の歴史が走馬灯のように目というスクリーンに映し出され、死ぬときに自分の人生を振り返るってこんな感じなのかなと、ふと思った。と同時に、今私は象徴的に「死のプロセス」を通ろうとしていると感じた。

写真を選ぶ作業を一回最後までやったあと、さらに二回目、三回目と繰り返す。最初これはどうしてもキープしたいと思って、う〜んと唸るのであるが(笑)、そんなとき、津波で一瞬のうちに全てを失った被災者のことが頭に浮かぶ。

時間を置いて二回目に取りかかると執着は少し薄れており、三回目にはさらに薄れ、結局持って行けるものは私の心の中にある思い出だけだという声が心の中から聞こえて来るのである。


手放すと、心に平原の景色が映る。そこに風が吹き渡る。これはまるでコロラドで見たあの景色じゃないかと思う。風は軽快さとともに新しい始まりの予感を運んで来る。その感覚が波のように何度も訪れる。


空間。空間。空間。





空間の中に立つとき、自分が天秤になったような感覚になる。

2つのものをそれぞれ客観的に観るということ。

どちらが良い、悪いというのではなく、それぞれが全体の一側面であるというだけで、自分はそのゼロの立ち位置から全体を見渡し、意識的に何にフォーカスするかということ。何を経験して何を創り上げたいかということ。

春分を超えて今ここに居る私の中の空間と天秤感覚が、新たな段階へと私を運んで行く。


今日の仙台は雲一つない快晴。そこに飛行機が飛行機雲をたなびかせ、軌跡を残して行くが、まもなく風はそれさえもかき消して、今、頭上にはただただ太陽と青い空があるのみ。



<写真:タッチドローイング「気づきの瞬間」、フロリダ州ポート・セントルーシー、ジェンセンビーチ、コロラド州ベネット>



2015年2月28日

アーティストチャレンジ(5日目最終日)

【Artist Challenge】(5日目最終日)

5日間毎日3つずつ画像をアップし、毎日一人ずつ次の人を指名するアーティストのリレー。タッチドローイング創始者デボラ・コフチェイピンから引き継ぎました。本日が最終日です。

全体意識に関する3枚を選びました。

アメリカで行われるリトリートの終盤に、野外のラビリンスで参加者全員が祈りを捧げ、歩く瞑想をします。この頃には、私の指が導く領域は意識の深層部へと達しています。個人の感情を超えた全体レベルである高次の意識です。

私の中から人類や地球への愛が溢れ出し、それが全てを包み込み、自分へと返って来る感覚になります。ごく自然に、自分が宇宙になったような感覚にもなります。そこには、ただ純粋な創造のエネルギーが呼吸をするように波打っています。

私と周りのあらゆるものとの関係が、美と調和で満ちている世界。私の魂は、記憶とともに、それを実現したくてこの地球に生まれて来たのかもしれません。

デボラがタッチドローイングを見出したとき、それは人類全体への贈り物なのだという気がしたと言っていますが、私もそう思います。タッチドローイングの持つ深さと広大さに触れるとき、それ自体が持つ意志と計画のようなものを感じずにはいられません。

根底を揺るがす新しい意識の波が押し寄せる今、日本にタッチドローイングを根付かせ、そこに集まる人々とともに、新しい現実を積極的に創り上げて行きたいです。

敬愛するデボラ・コフチェイピンと私の魂の道案内であるタッチドローイングとの出会い、そして魂の道の途上で出会う全ての人々に感謝を捧げます。

倉田順子のホームページ:www.junkokurata.com
次回のタッチドローイングワークショップ:4月11日・12日(仙台近郊)、4月25日〜27日(大分県湯布院)詳細情報:www.junkokurata.com
タッチドローイング公式ページ(英語):http://touchdrawing.com
創始者デボラ・コフチェイピンのアート:http://touchdrawing.com/gallery












2015年2月27日

アーティストチャレンジ(5日目)

【Artist Challenge】(4日目)

5日間毎日3つずつ画像をアップし、毎日一人ずつ次の人を指名するアーティストのリレー。

からだに関する3枚を選びました。

タッチドローイングでは描く象と身体感覚が密接に繋がっているため、私はドローイングを始めることにより、以前より自分 の体に意識を向けるようになりました。絵を通して、からだが持っている叡智やエネルギーをより強く感じるようになりました。

アメリカで行われるリトリートの最後に長時間踊り続ける祝祭があり、そこで私は裸足で駆け回り、生まれて初めて自分の本当の声を腹の底から発して(声が勝手に出た)、自分の中の野生の力を取り戻しました。そのとき、強烈な懐かしさに包まれました。

私という存在を、肉体を持っていることのよろこびを、この地上に天に知らしめるがごとく、足を踏みならし大空に向かってあらん限りの声を発しているとき、自分という存在が、歓喜とともに大地や森の木々と溶け合って空間に広がって行く感覚になりました。

天と繋がるとき、今この大地で生きているよろこびが湧き起こり、大地と繋がるとき、天への感謝に心震えます。

肉体は、この大地で生きていることの証。

この足を動かし、この手を使い、自分の本当の声を発する。足にも手にも声にも、大木の年輪に刻まれているような叡智が備わっているから、それを使ってわたしを表現していきたいのです。















2015年2月25日

5日間のアーティストチャレンジ(3日目)


【Artist Challenge】(3日目)

5日間毎日3つずつ画像をアップし、毎日一人ずつ次の人を指名するアーティストのリレ
ー。

2012年にワシントン州ウィッビーアイランドで開かれたタッチドローイング・ギャザ
リング(リトリート)第4日目に、古木が林立する森の中で行ったドローイングから3枚(と写真3枚)を選びました。

シアトル近郊の島ウィッビーアイランドは、白頭鷲やフクロウが身近に棲息する緑豊かな
場所で、会場も森の中の広大な敷地にあります。その年私はリトリートに初参加し、野外でのドローイングも初体験でした。

自然とがったとき何が起こるか?どんな象が描かれるのか?
考えたこともありませんでした。

それでもやっぱり私の心は、指は、知っていました。

自然から受け取るインスピレションは、私の感性のフィルタを通して得た情であり、そこかられる象は言とはなるコミュニケションによるものであり、私の魂のりかけであり、私と自然(神)との共同造なのでした。

連続したを通して流れ出る言き留めると、それはひとつの物になっていました

今思い出してもため息が出るような、それは魔法のような深い深い体でした。

森の中で描いた10枚のと木々の写真、言はこちらでごいただけます。
http://hoshinoto.blogspot.jp/2013/02/blog-post_26.html




  

I, the Sacred Space (私というなる所)」

とひとつになる
 そこは神
ときをぐ存在
それはわたしでもあった
ずっとそこにあった
わたしという







 

Cycle of Life(巡るいのち)」

根元にできた木のこぶに
宇宙の法則を司る
月の宇宙母を観る
魂のグループが
母胎という輪廻の輪から
またこの世へと
約束とともに送り出される










 
「Wisdom Offered(与えられる叡智)」

大地と空がつながる場所に
ぽっかりと空いた白いトンネル
目くるめく光の渦が押し寄せ
新しい意識への扉が開く




2015年2月23日

5日間のアーティストチャレンジ(2日目)

【Artist Challenge】(2日目)

5日間毎日3つずつ画像をアップし、毎日一人ずつ次の人を指名するアーティストのリレー。

心という深い海を潜って行くとき、様々な感情とともに心の風景がごく自然に立ち現れてきます。そして、指の動きとともにそれらの感情をくぐって行くと、その奥に扉が現れます。

それを開けると、その向こうに静寂の世界があります。扉は本当は開けるのではなく、一瞬で開きます。私が気づくだけのことなのです。

ときにはガラスが吹っ飛ぶ勢いで、ときにはすうっと浮かび上がるように現れる静寂。ずっと変わらずそこにあって、あり続ける世界。

愛おしさと懐かしさが込み上げます。どんな風に現れようと、それは一瞬にして世界が180度変わってしまうほど、優しく太く力強い存在です。それは「わたし」なのです。

紙の上で指が導いていく途上で、何度でも新しい扉に出会って行きます。何度でも、新しいけれどずっとそこにあった自分に出会って行きます。



 「Wings of Clarity(明晰の翼)」



 「Emergence (出現)」




「I am the Tree(私は樹)」





2015年2月16日

5日間のアーティスト・チャレンジ(1日目)

 久しぶりにブログを更新します。


【Artist Challenge】(1日目)

5日間毎日3つずつ画像をアップし、毎日一人ずつ次の人を指名するアーティストのリレー。Facebook でタッチドローイング創始者のデボラ・コフチェイピンから指名をいただき、有り難く受け取りました。このブログには、作品と文章を掲載します。


私は、今から6年前の2009年にタッチドローイングに出会いました。これは初体験のときの絵(後で色付けしました)です。それぞれの絵に説明を付けました。

絵を描くのは高校以来で、それも思考を使わず感じるままに指を動かすという全く初めてのやり方に戸惑うのではないかと思いきや、手は勝手にどんどん動き、内側からごく自然に感覚や言葉が溢れ出る深い体験でした。

それらのイメージが一体どこからやってくるのだろうかと不思議に思いました。そのときは、それが私の魂の表現の始まりだとは、まだ気づいていなかったのです。


「Energy Flow from the Source (源からの流れ)」



 「Trust (信頼)」
Trustという言葉の語源は「木の根」から来ていると

知人から聞いたことを思い出したとき、このイメージが出現した。




「Dreamtime (ドリームタイム)」
紙にできたシワを見ていたら、クリスタルの世界に滑り込んだ夢を
見たことを思い出し、それを描いた。ほとんど変性意識状態に近い。


<2日めと続く >