母は目が大きく、叱るときは、その大きな目に力をこめて「めっ!」っと言って(おそらく、それはダメという意味だろう)、親指を立てて思い切り私の目の前に突き出した。それがあまりにもパワフルで、3~4歳の私は途端にウワ~ンと泣き出したものだった。私は強情で腕白だったので、お尻もたたかれたし、押入れに入れられたこともあった。
しかし、そんな風に叱られた後、私は必ず抱きしめてもらったのを覚えている。それはとても心地よく、母のことは怖いけれども大好きだった。
叱られた後もグズグズ泣いているときは、母はそんな私を寝かしつけるため、添い寝をして、ポンポンと背中を軽く叩きながらリズムをとって子守唄を歌ってくれた。歌ってくれるのは、たいてい「五木の子守唄」か「叱られて」だった。
畳の上に敷かれた昼寝用の薄い布団にごろんと横になると、涙が鼻の付け根を超えて反対側に流れていく。叱られた後に「叱られて」を聴きながら、そうやって泣きながら眠りにつく。
この歌はキーが高いので、母の声は途中からしゃがれ声になり、聴き苦しいなあと思いながらも(笑)聴いていると、いつのまにか静かになっている。母の方が先に寝てしまっているのである。それを見て私も寝るというパターンだった。
今思い出すと切ないほどの優しい気持ちになる。切っても切り離せない母子。
空を見上げる。
山の少し上に出た満月は薄いピンク色に染まり
徐々に輝きを増していった
懐かしさと感謝の気持ちが、月の光に溶けていく
グレートマザーのスピリットに捧ぐ
<写真> バルコニーからの満月 & タッチドローイング「母と子」
0 件のコメント:
コメントを投稿