2013年9月11日

心の自然治癒力



喉の詰まりの感覚を指で表現していったら、いつしか火山の噴火の絵になったというのを、私自身や参加者が描くものの中に、一体何度見たことだろうか。喉が活火山と化し、噴火の勢いを指で表現するのは気持ちがよく、喉がスッキリした感覚になることがある。描いた後で、長い間抑えていた感情が爆発する状況が実際に起きたというのを耳にすることもある。

激しい憎しみを表現した絵の上に、さらに爪でひっかいて大雨を描く人。
「この感情を雨で洗い流したかったのです。心を洗いたかった」という。そして、きれいになるまで何枚も同じ絵を描いていった。
「やっとスッキリしました」と言ったとき、彼女はホッとした表情を見せた。

子供を抱えて離婚に踏み切れないという問題を抱えていた女性は、葉が一枚も残っていない裸の木を描いた。
「今の私は真冬の木。葉っぱが全部落ちたんです。今は、やがて春が来るのをじっと待っている感じかな」そう説明する彼女の表情には力があった。

紙の隅っこに、小さいがしっかりとした双葉を描く人。
「今まで色々あったけれど、それを全部経験して今の自分があると思うんですよね。そして、それを統合して、そこからまた何か新しいことが始まる予感がしています」
彼女はその双葉を思い切り体で表現した。

感じるままに指を動かしていくと、無意識の領域へと入っていく。そこに、自然現象や自然と人間の意識の関係が見えてくる。

自然のスピリットと交流し交渉するシャーマンのメッセージが記された本には、自然のスピリットは、宇宙の大循環の中でバランスをとろうとする意志とともに動いているという説明がある。

自然のスピリットがバランスを求めて動くように、人にも自分を癒す意志があり、その方法を知っていると私は思う。少なくとも、これまで絵を通してそれを見てきた。

自分は地中のマグマであり、山であり、植物であり、水であり、銀河であり、それらを司る力と切っても切り離せない関係にあることを絵は教えてくれる。

しかし、それはいきなりは始まらない。むしろ、それらの絵は、方向性を持った意識の流れの中で立ち現れるのである。バランスを取り戻すために自ずと働く仕組み、私はこれを「心の自然治癒力」と呼んでいる。

人間は自然に自分を重ね、自然と一体になることで、大切なものを取り戻していくのだろう。

今自分の中で起こっている混沌と向き合うことから始める。それは体の痛みやコリであったり、心のもやもやであったり出来事であったりする。すると、そこから展開され描かれる火山の爆発や大雨、大風の後に、きまってガラリと様変わりをした絵が出現するのである。

そこには静寂があり新たな力があり、それはまるで自然そのものである。


 
変化の嵐

出現




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