2008年1月24日

気づきへの一歩

どんなに一生懸命説明しようとしても、言葉では表現し尽くせないということがある。もうひとつの現実、目に見えない世界が確かにあるということを知る近道は、シンクロニシティ(共時性、偶然の一致)や神秘体験なのかもしれない。

シンクロニシティは、そのもうひとつの現実からの招待状のようなもの。それに対して返事をするかしないかは自分で決めることである。その未知の世界に心を開くかどうかは自分自身にかかっているが、返事をしたら、その先にある扉の前に立つことになる。そして次に、その扉を開くかどうかを決めることになる。そうやって、段階を追って進んでいく。

シンクロニシティの裏には、いったいどういう力が働いているのだろうか。私が経験したシンクロニシティの中には強い方向性があり、無視できない状況を迫られるものもある。

例えば、私は肉体的なレベルにおいて、体質を変える必要があった。今思えば、私は酸性体質であった上に、体内に様々な毒が溜まっていて、その毒を出す上でも食事を変えることが必要な時期があった。また、自分の波動を上げるうえで、精神的なレベルを高める必要もあった。

それを示唆するメッセージが、まず車の後部に貼ってあるステッカーという形で現れた。ある日、車を運転していると、前に走っている車の後部に貼られた「Become Vegetarians!(ベジタリアンになろう!)」と書かれたステッカーに目が留まった。そのときは、それだけのことだったが、同じ日に違う場所で、やはり前を走っている車に (もちろん違う車だが) ベジタリアンを勧めるステッカーが貼ってある。そして、なぜか同じ内容のステッカーがある車の後を走ったり、そういう車が追い越していく場面にその後1週間の間、何度も遭遇した。


もちろん「これは何か言われているな」と感じてはいるものの、具体的に何をするということもない。すると、今度は「STOP (止まれ)」の道路標識が落書きで「STOP Eating Animals(動物を食べるのを止めろ)」になっているのに目が留まる。「まただ・・・」


これはある種のメッセージだということを感じていたので、このあたりから、摂る肉の量や回数を減らすようになったが、それだけではダメだったようだ。

今度は道を歩いているときに、「Go Vegan (完全菜食主義者になれ)」と道路に刻まれた文句がいきなり目に飛び込んできて、思わず立ちすくんだ。この字が浮き上がって私の前に迫ってくると同時に、「Go Vegan」という声が空から聞こえた来たような感覚に陥り、かなり強烈な印象を受けた。


「来たな来たな~」と思ったが、子供の頃から今までずっと食べてきて、好きだった肉を完全に止めることは、やはり勇気がいった。頭の中で抵抗があり、心の中で葛藤があった。そして、そのまま行動に移れず中途半端なことをしていると、間もなく決定的なメッセージがやって来た。


ある日、行き着けのスーパーで「ジョン・ロビンズ*が完全菜食主義と地球環境についてシアトルで公演をする」というポスターが目に留まった。少し離れたところにあったのだが、写真のジョン・ロビンズの目に吸い込まれてしまった。そして、家に帰った後も「完全菜食主義と地球環境」という言葉が頭の中で鳴り響いていた。具体的に何であるかはわからないのだが、インパクトがあったのだ。

それから数日たったある日、「たまたま」ダウンタウンに出かけた夫が、ジョン・ロビンズが設立したアースセーブ・シアトル支部の前を「たまたま」通りがかり、入り口に置いてあったニュースレターに目が留まったので持ってきたと言って、家に帰るなりそれを私に見せた。先日スーパーで見たポスターのことなど、夫には言ってはいなかったのに・・・。このときは、さすがに鳥肌が立った。私がなかなか煮え切らない状態だったので、ついに夫まで巻き込み、これでもか、これでもかとメッセージが来たわけである。


このニュースレターには、当時ジョン・ロビンズの最新書著であった「The Food Revolution」が紹介されており、これが決定的なきっかけとなった。

この本には、完全菜食主義と地球環境のことがあらゆる角度から論理的に説明されており、その考え方と姿勢はストンと私の「腑に落ちた」。最後のページまで読み終わったとき、とてもすがすがしい気持ちになり、その日からきっぱりと肉を食べることを止め、約3年後に体が少し必要とするようになるまで続いた。後で振り返ると、この時期にこうすることは、次の段階へ進むために必要であったのだ。


シンクロニシティが助走をしているようなものであるとしたら、神秘体験は一気にジャンプするようなものかもしれない。一瞬の体験で、見る世界の捉え方や価値観がガラリと変わってしまうだろう。まさに「百聞は一経験にしかず」の世界なのだ。

日々の出来事に様々なメッセージがある。気づきとは、そのメッセージに気づいてひとつひとつ拾っていき、パズルの一片を合わせるようなものかもしれない。そして、それを続けていくと、あるときにひとつのまとまった形になる。今まで裏側にあった目的が、そこでやっと見えてくるだろう。目に見える現実と並行して存在する現実があり、そこにはゆるぎない真実がある。そのことに気づいたときに、目の前の壁が取り払われ、新しい世界が広がるだろう。

しかし間もなく、それで終わりではなく、それはより大きなものの一部分でしかないことに気づくであろう。常により大きな真実へと向かっていくのである。そして、目に見える現実以外の現実は、ひとつではなく多次元で網の目のようになっているのかもしれないと気づくに至る。

このように、気づきはさらに広く深いレベルへと進んでいく。

*ジョン・ロビンズ: 父がサーティワン・アイスクリームの創業者。息子である彼は事業を継がずに独立し、理想的な食生活や人類のあり方、地球環境をテーマに数々の著書を執筆している。

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