2012年3月13日

米領ヴァージン諸島の旅(5) - 水からの癒し2


前の日記で書いたソルトポンドビーチでのことを体験した2日後、再びセントジョン島を訪れ、この島でも美しいことで有名な、トランクベイと呼ばれるビーチにやって来た。

真っ白な砂にターコイズ色の穏やかな水。信じられないほど美しい。



ここでも、人々は泳いだりシュノーケリングをして思い思いに楽しんでいる。私は水着に着替えて、海に入ることにした。



気温は高いが、足の先が水に触れた途端に、頭のてっぺんまで衝撃が突き抜けた。思ったよりも冷たい。
私は体をこわばらせながらも、膝まで、太ももの辺りまで、腰までと、少しずつ水の中に入っていった。



この海岸の水も遠浅で穏やかである。足に触れる海底の砂はとても細かくて柔らかく、まるでビロードの上を歩いているように心地よい。温度に慣れてきて、胸の辺りまで水に浸かると、もう波は極めて緩やかであった。


穏やかな海の小さなうねりの中でじっとして、目の前に広がる水と空をぼんやり見つめていると、このゆらゆらと揺れる水に触れている自分の体に突然意識が集中した。このとき、この広い海の中で、私は小さな子供になったような感覚を覚えた。

海全体が優しく揺れるゆりかごで、私はその中で守られている。海は母のような優しさに満ちていて、私を包んでくれている。筋肉が緩み、深い安堵感に満たされた。




こんなに心地よいなんて。

両手をいっぱいに伸ばして、体中で水を感じてみた。なんとも言えない穏やかさだけが伝わってくる。今まであった筋肉がキュッと固まるような抵抗は全くなく、水に体を預けることができる。今、私は海という母のような大きな愛に包まれている。





ああ、私の中でため息をつくように、何かが解けて放れて行く。

涙が出そうになった。こんなに優しいなんて・・・。

今この瞬間、私は海に癒されている。長い道を歩いてきて、ここでやっとこれに出会えた。水の中で体が溶けていくようだ。これが水と一体になるという感覚なのだろうか。




水の中に体を沈め、じっとそれを味わっている。ただ受け取っている。



ハッとした。

それは、まさにシアトルを出発する前に引いたカードの絵そのものであった。このカードは、こういうことなんだ。



海からの癒し

受け取るということ
委ねるということ
信じるということ

水の感覚

溶けてゆく
流体になる

母なる海
母なる地球

今ここでこうして生きているということ
生かされているということ
それをただ受け取る

しなやかに
しなやかに

流体になる


タッチドローイング 「流れになる-解き放たれるマフラー」
「海と溶け合う」


<続く>
 

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